高知県議会意見書採択、「史記」再説

 今日(24日)、高知県議会に12月5日「肝がん肝硬変の医療費助成、身体障害者手帳の基準緩和」を国に求める意見書を提出していたところ、採択されたとの連絡があった。ありがたいことである。これで、四国4県の県議会で採択されたことになった。ウイルス性肝炎患者は全国に350万人ほどいると推定されている。肝がんになる者も大変多い。それらの人たちが安心して療養・治療できる環境を作ってほしいという私達の願いは、私にとっては肝炎患者会を作って34年にもなる。この間、多くの肝炎患者の仲間が亡くなっていった。国が一日でも早く私達の願いを制度として作り、安心して暮らせるものにしてもらいたい。

 

「史記」再説―司馬遷の世界 (中公文庫)

「史記」再説―司馬遷の世界 (中公文庫)

 この本で興味を引いたのは、武田泰淳の「司馬遷 史記の世界」に対する著者の見解であった。あとがきや付論にはこう書いていた。武田泰淳の「史記の世界」は戦前の出版と戦後では違うということであった。「序説」の前半4分の1ほどと「結語」のすべては太平洋戦争を礼賛したものであったが、戦後に流布した諸版において、いずれも削除されているというのであった。私が持っているのは、昭和40年(1965年)7月10日発行の講談社版のものである。「司馬遷 史記の世界」は1943年に東洋思想叢書の一冊として日本評論社から初めて出版されている。確かに加地の指摘するように序文・あとがきは違っている。削除した部分を著者加地はこう再現している。
 「日本人は今、自分たちの力をあらんかぎり出しつくして戦っている。・・・我々の場合は日本及び日本の中心を信ずることのみが、歴史に参加することになる。・・・真珠湾頭少年飛行士の信念を羨むのみである。・・・忠とは、身を史記的世界に置いて、日本中心を信ずる事である。勇とは、史記的世界に肉身を露にしてしてたぢろがぬ事である。忠勇無比とは、史記的世界が囲繞するとも、断じて往く行動者の態度である」
 そして著者加地は、「天皇制国家の下に団結する日本人優位とする観点を示す部分が削除された結果、戦後版武田『司馬遷』はイデオロギーの脱落した『史記』解釈の文芸評論となってしまっている。なるほど、私が40数年前に卒論で武田の「司馬遷」を読んだ時は、文芸評論になってしまったということだと納得させられた。
 戦後の武田泰淳は、仮の姿だったのか、それとも学生時代に考えた社会変革の心への回帰であったのか、武田が明確に語ってはいないので私にはわからない。



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どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
○燃えさし蚊取り二夜なべの針を おいて蛍としまい風呂
○ことばのはずみで別れた人に 今夜は逢えそな朝の蜘蛛
○孔雀がいっぱいひろげた翅(はね)の 翳(かげ)に残った冬の土

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