B型肝炎訴訟大阪期日・民法724条による「除斥」とFacebook友達

 昨日(12月2日)は、大阪地裁でB型肝炎訴訟の裁判があったので参加した。近頃、運動不足なので我家から高速バス乗り場までの30分あまりを歩いて行った。少しは暖かかったので助かった。
 今回は傍聴席がうまり、意見陳述を聞けない人がたくさんいた。原告たちの少しでも多くの被害者を救済したい、国は恒久対策をしっかりして欲しい、という気持ちを国に伝えるには大事な場なので、毎回傍聴席を溢れさせる取組が必要と感じた。とは言え、徳島からの参加は私一人(多分)で申し訳ない。
 意見陳述したのは、男女各一人であった。女性は63歳で現在は息子さんと暮らしている。B型肝炎ウイルスに感染していることを知ったのは1980年頃で、妊娠時の検査で知った。娘の出産については多くの妊婦さんと違う扱いをされて、「なんとなく差別されている」と感じた。病院の都合で個室に入れられたのに個室料金も請求された。息子の時にも対応は同じだったが、そのときは母子感染をブロックするワクチンなどができていて、感染は防がれた。
 1999年2月にご主人がアルコール性肝硬変で食道静脈瘤が破裂して大量の出血をして亡くなった。そのショックと葬式などの忙しさで体調を崩し、検査をするとGPTが1,000という高い値で即入院。そのとき娘さんが高3、息子さんが中3の受験真っ最中。母親と義兄の協力で入院した。2006年に肝硬変、今年1月には肝がんになった。
 娘さんも母子感染ブロック事業が始まる前の出産であったのでB型肝炎ウイルスに感染していた。彼女が就職する際の健康診断でわかった。その時のことについて、こう陳述している。
 「娘は『お母さん、私もB肝やったわ』と告げてきました。私は、このとき初めて母子感染の問題に直面してショックの気持ちと、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。でも、私は、『ごめんなぁ』と謝ることしかできませんでした。」
 娘さんは結婚して、無事に男の子を産んだが、その後慢性肝炎になった。二人目の子供を生むことを断念して、今はバラクルードを服用して治療に専念している。
 バラクルードB型肝炎ウイルスの増殖を抑える薬で、調べてみるとこういう記述があった。「B型肝炎においては、服用期間は長めになります。安易に中断すると、急激に病状が悪化するおそれがありますから、自分だけの判断で中断してはいけません。B型肝炎の治療終了時期の判断は、専門医により慎重に見極める必要があります。病状があまり改善しない場合や進行した肝硬変では、基本的には生涯にわたり治療を続けることになります。指示された期間、根気よく続けましょう。 」「
妊娠にかかわる安全性は確認されていません。また、母子感染の予防効果についてもよく分かっていません。妊娠中の服用は避けることが望ましいのですが、治療上の有益性がより高いと判断されれば、妊娠中でも処方されるかもしれません(FDA薬剤胎児危険度分類基準:カテゴリーC)。•万全のため、服用中に妊娠しないように適切な方法で避妊してください。また、授乳も控えてください。 」
 弁護団からも意見陳述があった。厚労省の10月末現在の提訴数は、B型肝炎訴訟原告団以外の原告を含めても40,411人で、厚労省が推定している被害者総数45万人のわずか8%程度にしか過ぎない。被害者が提訴できる環境の整備が必要である。特に、キャリアのままで発症していない人への対策が大事だと感じた。
 また、今回の意見陳述で強調されたのは、民法724条後段の「除斥」規定の適応をやめよということであった。民法724条では不法行為の時から20年経過したときは、損害賠償を求めることができなくなるということだから無茶苦茶である。
 裁判傍聴の後、報告会の会場に行く途中である弁護士に話を聞いた。10歳に満たない子どもも3次感染で原告になり救済されているということであった。集団予防接種時の注射器の使い回しによる感染は、当人だけでなく子ども孫までに及んでいる。最近は母子感染ブロックが進んできているが、それでもブロックが成功せずに感染している人は多数存在している。彼ら彼女たちは生まれた時から感染しているわけで、20歳になると「除斥」ということになる。不合理・不当なことこの上ない。裁判所ははっきり「除斥」の不当性を認めることが求められている。

 最近、小中学校時代から親しくしている友人から、Facebook友達のリクエストがあった。遠くはなれている親友とできることは嬉しいことである。

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