「天皇の国 賤民の国」(沖浦和光 河出文庫)・アマリリス満開・アケビ・ムベ

 「天皇の国 賤民の国」(沖浦和光 河出文庫)を読んだ。今までに彼の著書で読んだのは「旅芸人のいた風景」。

天皇の国・賤民の国―両極のタブー (河出文庫)

天皇の国・賤民の国―両極のタブー (河出文庫)

 今、天皇生前退位が色々議論されている。甚だしい人は、天皇万世一系神武天皇の時代から日本を統治していたと信じ込んでいる。
 著者は、「この列島の最初の住民は、数万年以上も前にやってきた旧石器時代人であり、その末裔である縄文人こそ、われわれ日本人の直接の祖先であった。もちろん、その頃には、後に大和王朝を築いた自称・天孫族の姿はどこにもなかった。彼らがこの列島へ新たな侵入者(インベーダー)としてくるのは、縄文時代が終わってさらに数百年後のことであります。」と書いている。
 そして江上英夫の考えを引用して、「『北方ユーラシア騎馬民族の神観に根ざした、神にして人、人にして神という天子の観念』こういう現人神の思想にもとづく万世一系皇位継承制が、そのまま日本の天皇制のなかに入ってきているというのです。」と紹介している。
 さらに、「天皇王権に最後まで果敢に抵抗した蝦夷や隼人など、この列島の先住民に対する徹底的な抑圧政策です。『紀』にみられるように彼らを『王化(みおもぶけ)に染(したが)はぬ』者と呼び、抵抗する者には徹底的な殲滅作戦をとった。神武天皇以来の単一民族論という歴史の偽造は、このような抑圧と差別の過程で作為されたのです。縄文文化の系譜をひく彼ら先住民族の誇り高い固有の文化をついに壊滅に追い込んでいったのです。」とも指摘している。
 いろいろ興味深い文章が書かれている。「天皇制と賤民制」・「底辺にいきた人びと」・「天皇制の舞台裏」など、天皇退位を考える時に、いい材料になる。
 わが家の庭のアマリリスが満開である。春に受粉させたアケビ・ムベも実をつけている。色づくのが楽しみだ。


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「江戸端唄集」(岩波文庫
◯都々逸百人一首
今こんと 言(いつ)て私しをよもやにかけて もはや有明 鶏がなく
本歌:今来むといひしばかりに有明の月を待ち出でつるかな(素性法師
今宵しのんで 逢坂山を 人に知られて なるものか
本歌:名にし負はば逢坂山のさねかづら人に知られで来る由もがな(三条右大臣)