B型肝炎訴訟大阪地裁傍聴、「日本人は何を捨ててきたのか」(鶴見俊輔・関川夏央 ちくま学芸文庫)

 昨日(26日)は大阪地裁でB型肝炎訴訟裁判があったので出かけた。朝6時57分の高速バスに乗ったが、さすがに寒かった。
 意見陳述を2名の方が行った。原告番号3844−1番の方は女性の遺族原告。肝ガンのため平成8年10月に夫は45歳で亡くなっている。長女19歳、次女16歳のときであった。夫は昭和の終わり頃B型肝炎だということがわかったが受診はしていなかったようだ。平成8年夏頃に急に体調を悪くした。町医者にしばらく受診したが良くならず、大きな病院に転医したところ「余命1〜2ヶ月」と宣告された。9月6日に入院して10月18日に亡くなっている。彼女は意見陳述で、「突然、私たちは母子家庭となり、当時の私は大きな不安にかられました。通っていた短大を卒業する学年だった長女は、4年生大学に編入する途もあったのですが、悩みながらも就職を選択してくれました。」と語った。また、「自分の周りに病気と闘っている人がいるのなら、その人が孤独にならないようにしてあげてください。大きな不安や恐怖と闘っているのです。少しの温かい言葉でどれだけ心安らぎ、勇気づけられることかと思います。」とも語った。
 もうお一人も女性。職場の健康診断の結果を、職場全員の前で、B型肝炎ウイルスに感染していると告げられている。そして一時期には食事の食器も彼女だけ使い捨て食器を使わされた。長女にも母子感染させてしまった。彼女は現在肝炎ウイルスキャリアだが、「しかし、私も将来慢性肝炎や肝がんを発症するかもしれないし、何よりも長女の将来のことを考えると、やはり頑張って国に責任を取ってもらおうと提訴することにしました。」と意見陳述した。
 また、弁護団も慢性肝炎・肝硬変の除斥ケースについて意見陳述を行った。
 裁判傍聴のあとには、会場を中之島公会堂に移して報告集会・原告団総会が行われた。今回は、私も集会の司会を務めた。集会途中で窓の外を見ると雪が降っていた。
 傍聴者は80名ほどであった。今朝の徳島新聞に小さな記事があった。この日、大阪地裁では原告55名(徳島6名)の和解が成立している。
 大阪地裁に入っていったところ、関所が設けられていた。来訪者全員に飛行場のように身体検査をしているではないか。思わず声を荒げ、「余計なことをするな税金の無駄遣いをするな」と言ってしまった。犯罪予備軍のような扱いである。今年1月から始められたそうだ。

 往復の高速バスで読んだのは、「日本人は何を捨ててきたのか」(鶴見俊輔関川夏央 ちくま学芸文庫)。

 鶴見俊輔の立ち位置がはっきりしていて、対談相手の関川夏央の話の引き出し方も優れている。何冊か興味を惹かれる本も紹介されていた。
 いつもより一便早い高速バスに乗ったので、丸善ジュンク堂阪急古書のまちに立ち寄った。
 買ったのは、「異体字の世界」(河出文庫・小池和夫)、「沖縄文化論」(中公文庫・岡本太郎)、「棋士とAI」(岩波新書王銘琬)。古書店では「着物柄にみる戦争」(インパクト出版会・乾淑子編著)、「古本屋群雄伝」(ちくま文庫青木正美)。
 「古本屋群雄伝」は中を見ると山王書房関口良雄について少し書かれていたので買う気になった。彼についてはブログで何度か私も書いている。「昔日の客」の著者である。「着物柄にみる戦争」は、義父の短歌集「「光十字に」に因んで購入した。

今年の目標
①中国語検定2級合格 とりあえず3月25日が試験日
魯迅全集全20巻読了 現在、第1巻「墳・熱風」428ページまで読了。なかなか進まない。
台北陵クリニック筋弛緩剤えん罪事件の守大助さんをご支援ください!
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「光十字に」の中から「戦陣抄」瀬尾茂信
マラリアの口もきけざる高熱に浮かぶは父母と故郷の川
◯負傷せし戦友の手を握り励ませどただ涙してちちははを呼ぶ
◯地平線に真赤な夕日沈むとき空の彼方の父母を恋う
◯前線で写真を胸に戦える友の御霊は郷へ帰らむ
◯父母想い故郷偲びて書く便り届きたる時われ無事なるや