伊曽保物語

 イソップ物語である。

絵入り伊曽保物語を読む

絵入り伊曽保物語を読む

 イソップ寓話とはウィキペディアWikipedia)によると、以下の通りである。
出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
イソップ寓話(イソップぐうわ、Αισώπου Μύθοι )は、アイソーポス(イソップ)が作ったとされる、動物寓話を中心とする寓話集。日本ではイソップ物語イソップ童話と呼ばれることが多い。すべての寓話に教訓が含まれており、現在でも童話、絵本などの形で広く読まれている。
概要
ヘロドトスの「歴史」によると、紀元前6世紀に奴隷のアイソーポスが作った、とされているが、すべてがアイソーポスの創作ではなく、それ以前から伝えられていた寓話、後世に創作された寓話、アイソーポスの出身地(小アジアのどこかといわれる)の民話を基にしたものも多数含まれていると見られる。ギリシア語の原典は失われており、現存するのは古代及び中世にバブリウス、ファエドルス、アヴィアヌス、ル・ピュイのアデマールなどによってまとめられたラテン語のものである。
英語のテクストで最初に出版されたのは、ウィリアム・カクストンによる1484年のもので、その後1692年にロジャー・レストランジェがより現代英語に近い形で改版した。ほぼ同じ頃、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌがフランス語に翻案し、これが非常に有名である。
日本では、1593年に『イソポのハブラス(ESOPO NO FABVLAS)』として紹介されたのが始まりで、これはイエズス会の宣教師がラテン語から翻訳したものと考えられており、天草にあったコレジオ(イエズス会の学校)で印刷されたローマ字のものである。その後江戸時代初期から『伊曾保物語』として各種出版され、普及し、その過程で「兎と亀」などのように日本の昔話へと変化するものもあらわれた。内容は現在のイソップ寓話集と異なる話も収録されており、さらに宣教師向けの『イソポのハブラス(ESOPO NO FABVLAS)』と、読み物としての『伊曾保物語』の間にも相違が見られる(16世紀末の日本における宣教師の出版についてはキリシタン版を参照)。
明治になってから英語からの翻訳が進み、幕臣出身の学者で沼津兵学校校長だった渡部温の「通俗伊蘇普物語」(現在、東洋文庫にて入手可能)がベストセラーとなり、修身教科書にも取り入れられた事から、広く親しまれるようになった。

 本書は、江戸〜明治にかけて刊行された3種の本の中から、50話の挿絵と原文を収めている。万治2年(1659年)刊「伊曽保物語」・天保15年(1844年)刊「絵入教訓近道」(為永春水作・歌川貞重画)・明治20年(1887年)刊「密画挿入伊曽保物語」(大久保常吉編・滝村弘方画)
 別に「鄙都言草」から一話取上げている。移入されたイソップ物語は、形を変えて日本の民話にも各地で登場している。著者の武藤禎夫は、「鎖国下、キリシタン禁制の時世に合っては、『伊曽保物語』の公然の閲覧はむずかしかったが、純粋な宗門の教義書とは違って、寓話のもつ人生訓が、仏典や心学の説教集同様の教訓と見なされ、元禄期(1960年頃)前後には、書承・口承を経て江戸文芸に受容の関連話が、わずかに見られる。江戸後期でも、紀州侯から欧文書を見せられた銅版画の始祖司馬江漢は、随筆の中で挿絵入りで10余話も記載した。」
 万治2年(1659年)刊「伊曽保物語」のイソップは江戸時代の貴紳の話し相手を勤めた僧体の御伽坊主風に描かれている。本書の表紙の絵は、「絵入教訓近道」の「鼠、談合するはなし」からとっている。本文はこうである。「ある時、鼠大勢集まりて談合しけるは、『いつも、かの猫という徒ら者に捕らるる時、千度(ちたび)悔ひても、その詮なし。かの猫、声を立てるか、足音でもすれば、かねて用心して捕られぬ覚悟をもするなれども、ひそかに近寄りて来るゆゑ、折々油断して捕らるるなり。いかにせば良からん』と言ひければ、一つの鼠進み出でて申しけるは、『それには、何より良き手段あり。かの猫の首へ鈴を付け置かば、たとえ足音はせずとも、こなたに油断はあるまじ』といふにぞ、皆々『もっとも然るべし』と言ひけるが、大勢の鼠の中より、誰あって『猫の首へ鈴を付けに行かう』と言ふ者なければ、終にその談合は止みにける。その如く、人も後先の勘弁なく、了簡(りょうけん)ありげに口を叩く者は、鼠に等しく、ついには恥をかくものなれば『口は災いの門』と思ふべし。」
 我が家の本棚には「通俗伊蘇普物語」(渡部温訳 谷川恵一解説)があるが、まだ読んでいない。これは、トマス・ジェームスによって英訳されたイソップ物語(ASOP’S FABLES)を渡部が翻刻したものである。明治6年1873年)に出版されており、237話が収載されている。そのうちに読んでみよう。

通俗伊蘇普物語 (東洋文庫)

通俗伊蘇普物語 (東洋文庫)