李長之

 紀伊国屋書店のホームページを調べたら、白川静の「孔子伝」が在庫にあったので、注文した。それまでのつなぎに、李長之の「人間孔子」という本が書棚にあったので読むことにした。

人間孔子 (徳間文庫)

人間孔子 (徳間文庫)

 この本は1956年に「孔子」(上海人民出版社)から出されている。1979年に徳間書店から出され、1989年に文庫化された。訳者の守屋洋は「本書は、もともと専門書や研究書のたぐいではなく、一般の社会人を対象に、波瀾に富んだ孔子の一生をわかりやすくまとめたものである。『論語』その他の古典から孔子のことばを数多く引用しているのも、そういうねらいからであろう。」と書いている。1979年というと、まだまだ文化大革命が中国の国民生活に大きな否定的影響を与えていた。著者は1957年の「百家斉放、百家争鳴」の時に「右派」のレッテルを貼られ、1966年に始まった文化大革命では”ブルジョア階級の反動学術権威”とされて、財産を奪われ強制労働に従事させられた。
 1976年に文化大革命が終わり、社会的・政治的名誉を1979年3月に回復したが、彼が死んだのは1978年8月であった。
 李長之は大学在学時代から魯迅に関する評論を書いている。彼の著書「魯迅批判」が出版されたのは1935年。彼が25歳の時であり、魯迅が亡くなる前年であった。
魯迅批判

魯迅批判

 1990年に徳間書店から南雲智の訳で出されているが、「人間孔子」を読み終えたので「孔子伝」が届くまでのつなぎに読んでいる。